2023年、私にとって最も重要な出来事は「瞑想合宿」への参加でした。
今まで開かなかった扉が、条件が整うことにより開くと、そこには想像以上に広大な世界があり、のめり込み、人生が変わったと感じる。そんな経験は一生の中でも、そんなに多く有ることではないと思いますが、今回の瞑想合宿は私にとっては、そういう経験でした。
参加の背景
10年くらい前に、坐禅を勧められ、初めて試したものの、特に何も感じることができませんでした。スティーブ・ジョブスが坐禅をやっていたとか、グーグルやヤフーがマインドフルネス瞑想を導入して従業員の能力が向上しているという新聞記事を目にし、気になり続けていました。色々な瞑想の本を読んで試しましたが、やはり効果を感じられず、瞑想を習う場所を探していました。
私は日常生活で、いつもイライラしていて、ちょっとしたことで、爆発、暴走することがありました。パートナーがその被害を受けることが多く、関係が壊れてしまうのではないかという危機感がありました。私の理想の老後の姿は、ジブリ映画「耳をすませば」に出てくる骨董屋のおじいさんのような、穏やかで優しく思慮深い老人なのに、このままでは、時々居る、いつも何かに怒っているジジイになってしまうと懸念していました。
集中力、記憶力、視力、体力、運動能力の低下や、健康への不安など老いへの恐怖もありました。
三重県のおふくろさん弁当の岸浪龍社長の本を読んだ時に、
「自分の内面を観察する文化が醸成されるにつれ、社内の人と人のあつれきといったものが、ゆっくりと、でも確かに氷解して行ったのだ」
と書かれていました。自分の内面を観察することを「内観」ということを知りましたが、もう少し詳しく知りたいと思い、PCのディスプレイに「内観」と書いた付箋を長く貼っていました。
参加のキッカケ
3月5日、書店で「なぜ僕は瞑想するのか~ヴィパッサナー瞑想体験記~」という本を見つけ、その日のうちに夢中で読み終えました。
ヴィパッサナー瞑想とは、ゴータマ・ブッダによって説かれた瞑想法で、ゴータマ・ブッダ自身もこの瞑想法により、悟りを開いたそうです。「ヴィパッサナー瞑想」でネット検索すると、膨大な情報が有り、ウィキペディアにもページが有りました。
私が参加したのは、日本ヴィパッサナー協会が主催している11日間の瞑想合宿。この協会を調べてみると宗教団体ではなく、世界中に瞑想センターを持つ大きな団体で、その日本法人が非営利型一般社団法人ということが分かりました。参加費は無料で、参加後に合宿の価値を感じたら、次の人のために自分ができる範囲の寄付をするという仕組みでした。日本で瞑想合宿がおこなわれるのは、千葉と京都のセンター。もっとも近い開催は、5月19日~30日の京都でした。
1年前だったら、
「11日間も会社を空けるのは無理だ」
と即あきらめていたと思いますが、今は、隣接異業種で集まっている協業チーム「SBAX(スバトラ)」の皆さんがいます。彼らにお願いしたところ、不在中の代理を快く引き受けてくれました。パートナーからも
「あなたがそんなに強く自分の願望を言うのは珍しいから、本当に参加したいのでしょう」
ということで許可を貰いました。
この瞑想合宿は人気があり、すぐに満席になるという情報を得ていたので、3月20日の申込開始時間にPCの前に張り付き、すぐに申し込みました。京都がダメなら千葉にでも行くつもりでしたが、26日に予約OKのメールが届き、一安心しました。
瞑想合宿中
合宿初日の受付時に、貴重品と共に携帯やスマホを預けます。外部との連絡、書籍や筆記用具、ボイスレコーダーの持ち込み、合宿を途中で離脱することも認められません。
瞑想合宿中は、5つの戒律を守ります。戒律の中に「飲酒しない」があります。合宿後も瞑想を続けるのであれば戒律を守る必要があるということを合宿前に知り、酒を止めて参加しました。5つの戒律の他にも、「聖なる沈黙」というルールが有り、生徒同士は、言葉、身振り手振り、メモなどいかなるコミュニケーションも禁止されます。また、男女も分離されます。
瞑想合宿の基本的なスケジュールは、朝4時に起床し、約11時間、休憩を挟みながら瞑想をし、毎晩講話を聞き、21時半には消灯です。食事は、朝、昼の2回、ご飯、汁物、野菜のおかず一品と質素ですが、とても美味しかったです。夕方は軽くフルーツが出ます。
合宿というより修行という言葉がふさわしい内容でしたが、瞑想センターは、とても静かで美しく、そこに居るだけで心を洗われるような場所で、瞑想に集中できる環境が整えられていました。
コース終了時に寄付を受け付けるテーブルは用意されていましたが、強要されるどころか、寄付の呼びかけすらありませんでした。私は、十分な恩恵を受けたと感じたので、できる範囲で寄付しました。
瞑想合宿で得たもの
・ずっと望んでいた瞑想の技術を学ぶことができました。合宿後も毎日2時間瞑想しています。
・合宿中は話すことができないため、自然に自分自身と向き合うことになりました。人を嫌う時の心の動きや、執着すると苦しみになること、自分は何に執着しているかなど多くの気付きがあり、自分を見つめる習慣のキッカケになりました。
・イライラはかなり無くなり、パートナーの被害は減ったのではないかと思います。
・ヴィパッサナー瞑想のことを「内観」とも呼ぶそうです。学んできたことがそのまま答えになりました。
・断酒も続けており体重が5kg減りました。
残りの人生をかけて取り組める、瞑想という技術を手に入れたので、修行を続け、理想のジジイになりたいと思います。
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